幸運だったなぁと思う。
ゆいや用事があって、乗換えで東中野に降りた。
東京にきて5年にもなるが一度も下りたことないな、とふと気づいた。
おいしい店でもないかなと思って散策することにした。
信号を渡ってすぐの通りに入ると、まだ8時過ぎにも関わらず、
駅前とは思えない閑静な通りに、庶民的な店が立ち並んでいる。
中華料理屋が多く、韓国料理の店が点在していたのは、大久保に近いからだろう。
大衆食堂的な店から、本格的な中華料理屋まであった。
残念なことに昼には、会社の近くのラーメン屋だったので、
当然候補からは外れることになるのだけれど。
今度は中華食いに来てやる、と密かに敵愾心をもっていた。
文字通り、一通り歩いて決めたのが、
今回紹介するお店「キッチン・ドナルド」。
なんとも家庭的な雰囲気の佇まい。
定食屋には少し珍しいガラス扉をくぐると、
板張りの壁に、色褪せた手書きのメニューがところどころに貼ってある。
少し奥のカウンターには、買出しのビニール袋にテレビの光を映していた。
なんとも家庭的なお店である。
お母さん、と呼んでしまいそうになる妙齢のウェイトレスが、
差し出したのは、量の違うお冷と、ビジネスファイルで作ったメニュー。
マジックでふちどった文字に、思わず顔が綻んでしまう。
優柔不断な俺には珍しく、すんなり決まった。
「ミックスフライ定食」。
どこの定食屋にもあるメニューだ。
どこにでも、あるメニューだからこそ味がわかるという気がする。
ただ単に、揚げ物が食べたかっただけなのでけれども。
ゆいやのメニューが時間がかかるそうなので、
読みさしの本を開いて待つことに。
後で気づいたことだが、喫茶店のように穏やかな雰囲気でもあったのだと思う。
ゆっくり本が読める定食屋というのも、乙なものだ。
でてきたメニューは、ごらんのボリューム。
ごはんと味噌汁。
漬物に醤油が垂らしてある。
フライは、エビ、チキン(モモ)、カキ。
タルタルソースにレモンが添えてある。
それぞれ味が異なっているので、飽きが来ない。
チェーンの定食屋によく見られるゴールデンブラウンより、
少し黒みがかった揚げ具合が、とても自分好みで嬉しい。
ゆいやが頼んだのは、『若鶏のトマトソース赤ワイン煮込み』。
一口もらったが、ワインの風味が若鶏の香ばしさと絶妙なハーモニー。
なにより、そのやわらかさ。
時間が料理をおいしくする、ということを痛感させられる一品だった。
その後、二人がとても静かだったこは、言うまでもない。
壁の至るところに見かけられたが、「ステーキ」の文字。
次は、ステーキを食いにこようと誓った。
「チャレンジステーキ (400g)」の文字。
おのれ、捨て置くわけにはいかん。
居心地のいいお店で、「食事をした」ではなく、
「ごはんを食べた」と感じた。説明し難いが、そう感じた。
また、よい店にであえました。
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無題
2007/12/06(Thu)03:16
No.1|by ある|
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